
今年2月13日に発売された『都市伝説解体センター』。都市伝説を入口としながら本格的に描かれるサスペンス・ミステリーの遺伝子は、開発チーム墓場文庫の前作『和階堂真の事件簿』シリーズから受け継がれています。話題沸騰の作品を手がける墓場文庫の皆さんに、両作の開発を通して培ったクリエイティブの秘訣を教えていただきました。
――皆さんの自己紹介をお願いします。
ハフハフ・おでーんさん:
ハフハフ・おでーんです。墓場文庫ではグラフィック、ドット絵を担当しております。
MOCHIKINさん:
MOCHIKINです。プログラム全般を担当しています。
きっきゃわーさん:
墓場文庫のきっきゃわーです。墓場文庫内ではシナリオ、テキストを打つという作業やキャラクターデザインをメインにしております。
あだPさん:
あだPです。墓場文庫内では主にサウンド周り、BGMやSEを担当しています。
――まず墓場文庫といえば、2024年の東京ゲームショウで『都市伝説解体センター』の巨大なピラミッドが展示されていたのが印象に残ってる方が多いと思います。あの展示の反響はいかがでしたか。

ハフハフ・おでーんさん:
とんでもなく反響をいただきました。特に我々みたいなインディーチームが、1タイトルであそこまで大きい展示ができるというのはほとんどないのかなと思っています。いろいろな人から「見たよ」と言ってもらえるのは嬉しいなと思いました。
――あのかたちの展示は、事前に皆さんにお知らせされていたのでしょうか。
ハフハフ・おでーんさん:
はい。集英社ゲームズさんから「こんな感じのブースでいこうと思う」という風にイメージ図は見せていただいていました。
――実際にご覧になっていかがでしたか。
きっきゃわーさん:
前もってデザイン案のやりとりは見ていたので、なんとなく「こういうのを作るんだな」というイメージはできていたのですが、サイズ感が「こんなにデカいの!?」とびっくりしました。現場に行ったときは新鮮味がありましたし、思わずビビってしまうくらいでしたね(笑)
「諦め」と「模索」のせめぎ合い
――それでは具体的な作品について伺っていきたいと思います。『和階堂真の事件簿』シリーズと『都市伝説解体センター』がそれぞれどのようなゲームか簡単に教えていただけますか。
ハフハフ・おでーんさん:
『和階堂真の事件簿』は、刑事が主人公の推理アドベンチャーゲームです。現在room6さんから『和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE』という形でNintendo Switch版とSteam版がリリースされています。4つの短編ミステリーが入っていて、それぞれ別々の王道ミステリーを楽しめる作品になっています。
『都市伝説解体センター』は2025年2月13日に集英社ゲームズさんからリリースされた作品で、オカルトをテーマにしたミステリー作品です。


――『和階堂真の事件簿』シリーズはいわゆる「本格ミステリー」路線でリアルな世界観が特徴でした。対して『都市伝説解体センター』は都市伝説などのオカルト要素が入口となっていますが、このテーマの違いでミステリーの描き方に違いは生じましたか。
MOCHIKINさん:
『和階堂真の事件簿』は本格ミステリーとうたってますが、本格ミステリーではないんですよ(笑)もともと「誰でもクリアできるゲームにしたい」というコンセプトがあったんです。ほかの推理ゲームでは、謎が解けないと行き詰まってしまうことがありますよね。それをなくしてどんな人でも選択肢を選べば進むことができるし、最終的にはゴールに辿り着き一定の達成感とシナリオによる満足感を得ることができるゲームになっています。そのダシとしてミステリーを使ったのが『和階堂真の事件簿』なんです。
そういう意味でいうと『都市伝説解体センター』も同じですね。「ミステリー+サスペンス」という要素の描き方で謎を残しつつ、オカルト事件を解体していくことで真相が見えてくる……という構成になっているので、ミステリーという題材としてはやりやすかった部分もあります。
――両者のアートスタイルについてもお聞かせください。『和階堂真の事件簿』では登場人物の具体的な顔をあえて描写しない表現方法がとられていたのに対し、『都市伝説解体センター』ではキャラクターごとに固有の立ち絵があります。それぞれの描き方で表現したかったものの違いについて教えていただけますか。


ハフハフ・おでーんさん:
まずストーリー面でいうと、『和階堂真の事件簿』は短編4作品からなる構成に加え、グラフィックによるトリックも活用していたので、ディテールを見せないことを重視していました。逆に『都市伝説解体センター』は連続ドラマなので、キャラクターをもう少し描いていきたいという意図でバストアップを入れています。
MOCHIKINさん:
もともと『和階堂真の事件簿』は、久々にゲーム開発をするためのリハビリに向けた作品だったんです。そのため、当初は1か月という短い期間で完成させようとしていました。1か月で作るということは、よほどリソースを切り詰めないと作れないので、低解像度のドット絵にしたという事情もあったんです。そのため、『和階堂真の事件簿』は結果的に顔が識別できないサイズになりました。
――シナリオ面の都合とリソース面の都合から『和階堂真の事件簿』のアートスタイルが決まったんですね。描き方としては、『和階堂真の事件簿』と『都市伝説解体センター』のどちらが大変でしたか。
ハフハフ・おでーんさん:
『都市伝説解体センター』の方はキャラクターの表情差分が大きいので、そういう意味での難しさはありましたね。
――表情差分といえば、『都市伝説解体センター』ではキャラクターが恐怖したときの顔が印象的でした。あのイラストにモデルはありますか。
きっきゃわーさん:
私が絵を描くときは基本的にモデルを使わないんです。その代わり、漫画家さんがよく言うように、絵を描いている間に自分もつられて顔面がすごいことになっていたと思います。頭の中で芝居をしながらキャラクターの個々の顔を描いていたので、第2話の表情差分あたりは特にデザインしていたときの自分の顔面が疲れていたと思います(笑)誰かが同じ部屋にいたら引いていた可能性はありますね。
――一部のキャラクターは、もとの綺麗な顔立ちから恐怖したときの豹変ぶりに驚きました。
きっきゃわーさん:
もともと初期案では、あまり高カロリーにならないようなデザインで進めていたんです。ただ開発を進めるにつれてストーリーの全体図が見えてきて、いろいろな演出をつけられるようになってきたタイミングでなんとなく「全体的にキャラクターが薄い部分が良くないね」という意見が出てきたんです。「もう少し各キャラクターで特徴をもたせていった方がいいかもね」という、キャラクターメイキングにおいての方向転換の瞬間があったので、その後から表情が増えました。ナチュラルな芝居だったのを極端な演出に変えていったんです。自然にそうなったというよりは、わざと強烈な顔に変えていったので、意図したものにはなっています。

――それでは、開発についても伺っていきたいと思います。『和階堂真の事件簿』シリーズは短期間での開発が特色だったのに対し、『都市伝説解体センター』は数年単位で取り組まれたプロジェクトになりました。短期間開発と長期間開発、それぞれの良かった点と苦労された点を教えていただけますか。
MOCHIKINさん:
まず『和階堂真の事件簿』の開発に関してお話します。メリットは開発期間を確実に決めていたので、いろいろな要素に対してすごく「諦めがつく」というやり方をしていました。ゲーム開発は引き算である、とよく言われますが『和階堂真の事件簿』は引き算をしまくったんですね。「こんな要素も入れたい」「あんなこともしたい」というアイディアは出るけど「時間的に無理だから」を合言葉にして全部切り捨てていったので、しっかりとリリースまで迷うことなく作ることができました。
デメリットとしては、やはりシナリオに不備や微妙なところが残っているのは自分たちでも感じていて、そこをレビューで書かれると悔しいですね。でも、それは受け止めようってチームで決めたんです。それに耐えるしかないという辛さはあります。

――決められたリソースのなかで確実に実現できるところだけを拾い上げていったわけですね。『都市伝説解体センター』についてはいかがですか。
MOCHIKINさん:
『都市伝説解体センター』は非常に難産でした。単純に中長期の開発だったからではなく、集英社ゲームズさんとともに慎重に開発方針を検討しながら進めていたので、『和階堂真の事件簿』よりもじっくりと開発に取り組むことになったんです。
――お互いに方向性を探りながらの開発だったということでしょうか。
MOCHIKINさん:
はい。先ほどきっきゃわーも話していましたが、途中から表情差分が増えたという話もその延長線上なんです。作っていくうちに「こうした方がいいよね。ああした方がいいよね」という意見が出てきて。『和階堂真の事件簿』のときは全部「それはやめておこう、切り捨てよう。とにかくリリースに間に合わせよう」という方針だったのですが、集英社ゲームズさんとのやり方においては「いるものはいる、いらないものはいらない」としっかりと判断した上で工数に入れていく方向性だったので、作業量が後から増えてきたことによって期間が伸びてしまったというのが実際の事情ではあります。
だから、あのボリュームのゲームの開発期間としては結構長めなんじゃないかなと思っているくらいで、本当は半分ぐらいに短縮できたらベストというイメージではあるんです。ただ集英社ゲームズさんとタッグを組むことによって、僕らが見えていなかった部分をたくさん出してもらえたので、ゲームとしての完成度は『和階堂真の事件簿』から比べると抜群に上がったように感じています。作って「ここがあまり良くなかったな」という思いを抱えているメンバーもあまりいないと思います。

あのキャラのモデル役者は?
――開発の初期段階について、『和階堂真の事件簿』ではチーム内コンペ形式でシナリオを決定されたというお話を発表されていましたが、『都市伝説解体センター』でも同様のコンペは開催されましたか。
ハフハフ・おでーんさん:
『都市伝説解体センター』でも初期はコンペ形式でいろいろなアイディアを出しあったりしました。『和階堂真の事件簿』の後半で墓場文庫としての作り方がなんとなく完成してきていたんです。まず、MOCHIKINさんがミステリーに精通しているので、大枠のプロットを作ることを非常に得意としています。さらにそれを順序だててストーリーを組み立てていく部分を僕が担当しました。そして『都市伝説解体センター』はキャラクター重視のゲームでもあるので、最後に登場人物同士の掛け合いを入れたり、分かりやすく説明したりする部分できっきゃわーさんに魂を吹き込んでもらってシナリオを完成させています。
――分業しながらのシナリオ制作が確立してきたわけですね。『都市伝説解体センター』でキャラクター重視に転換したきっかけはありましたか。
ハフハフ・おでーんさん:
開発の初期段階に、まずコンペでいろいろなアイディアを出して集英社ゲームズさんに共有した際、ビジュアルも作って出したんです。そのとき設定はあまり決まっていなかったのですが、廻屋渉というキャラクターだけはすでにできあがっていて、グラフィックもほとんど今と変わらない状態で企画書を作っていたんです。その時点で魅力的なキャラクターとして確立されていたので、そこから始まってキャラクターを打ち出したゲームになったように思います。あとは集英社ゲームズさんにも、キャラクターを使ったゲームという部分に魅力を感じていただいたのではないでしょうか。

――廻屋渉の話題が出てきましたが、『和階堂真の事件簿』『都市伝説解体センター』のキャラクターのモデルになった役者さんはいますか。
ハフハフ・おでーんさん:
『和階堂真の事件簿3 影法師の足』はシナリオを決めるコンペのとき、登場人物全員にイメージする役者さんを当ててプレゼンをしたんです。実はキャラクターの名前にその名残が残っています。田中刑事は俳優の田中哲治さん(※1)とか、渋川っていうキャラクターは渋川清彦さん(※2)とか。
(※1)田中哲治さん
日本の俳優。1966年生まれ。2015年、シス・カンパニー公演『RED レッド』で第50回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。
(※2)渋川清彦さん
日本の俳優、男性ファッションモデル。1974年生まれ。2013年、第26回東京国際映画祭で上映された『そして泥船はゆく』で映画初主演を務めた。
MOCHIKINさん:
あれは刑事ドラマが題材だったので、そのままドラマ的な組み方だったんですよね。
ハフハフ・おでーんさん:
もし本当に刑事ドラマだったらという感じですね。『都市伝説解体センター』はどうかな。
きっきゃわーさん:
役者ではないモデルはいるけどシークレットです(笑)
MOCHIKINさん:
誰か当ててみてね。
きっきゃわーさん:
「あれっぽいな」というのは多分あると思います。

――『都市伝説解体センター』といえば、エンディングでラップが流れるのも印象的です。主題歌を作られた意図について教えてください。
ハフハフ・おでーんさん:
もともと『都市伝説解体センター』のエンディング、主題歌を作ろうという案は早い段階で決まっていました。そこでどういう曲を入れようかと考えたとき、『都市伝説解体センター』自体が現代的なテーマのゲームにしたいと思っていたので、歌謡曲っぽい歌よりは最近の流行りを取り入れた方がモダンになるだろうと考えてラップを入れました。
作曲はMURASAKIさんというクリエイターにお願いしたのですが、僕と2人でアイディアを出しあっていくなかで、「ラップを入れると今っぽいよね」という話が上がったんだったと思います。Aメロにラップが入ってサビがくるような感じがいいんじゃないかという話をしていた気がします。あっ、ちょっとここで『都市伝説解体センター』のBGMについてあだPに語らせてもらってもいいですか。
――ぜひ、お願いします。
あだPさん:
プロジェクトが始まるときハフハフ・おでーんさんから「電子音楽をベースにBGMを作ってくれ」と言われたんです。でも僕はシンセサイザーとか電子音楽みたいなものに今まで縁がなくて、ほぼ何も知らないような状態だったんですね。元々ジャズとかオーケストラを演奏してたので、その方面は大体分かるんですけど、電子音楽の分野には全然知見がなくて。最初にデモ楽曲を作ってみても全然それっぽくならなかったので、電子音楽のスクールに習いに行ったんです。一通り習ってからもう1回楽曲を作って、いい感じにできるようになったかなという感じです。こだわりというよりは、全部の曲を必死になって作っていたという感じです(笑)余裕がなかったですね、本当に。でもなんとか形になって、自分の中では120%の力を込められたのでよかったなという感じです。

――ご自身でシンセサイザーを使って音作りをされたわけですか。
あだPさん:
そうですね。プリセットといわれる最初から音源に入っている音もあるんですけど、それだとやっぱりちょっと微妙だね、という話になったので、いろいろ自分でいじりました。その操作の仕方もスクールで学んだので、一通り細かくいじってそれなりに自分の思う通りのものはできたかなと思っています。
シナリオを紡ぐ苦心
――墓場文庫の皆さんに影響を与えた作品があれば3つ教えていただけますか。
ハフハフ・おでーんさん:
『都市伝説解体センター』に一番影響を与えているのは多分『SNATCHER』(※3)で、あとは『京極夏彦シリーズ』(※4)は激烈に影響を与えていますね。妖怪を都市伝説に当てはめて作っているというところはあるのかなと思います。あとはほかのインタビューでも答えたのですが、『X-ファイル』(※5)みたいな都市伝説をテーマにした調査ものみたいなものは影響がかなりあると思います。
(※3)『SNATCHER』
1988年にコナミから発売されたアドベンチャーゲーム。2042年の未来都市を舞台に、人間を殺しその人物と入れ替わって潜伏する謎のアンドロイド「スナッチャー」と、それを追う捜査官の戦いを描くサイバーパンク・アドベンチャー。小島秀夫氏がシナリオと企画を担当した。
(※4)『京極夏彦シリーズ』
日本の作家、京極夏彦の小説シリーズ。「百鬼夜行」シリーズとも。古書肆「京極堂」の店主である中禅寺秋彦が「憑物落とし」を駆使し、謎に包まれた事件を解き明かすミステリー。シリーズは累計1000万部を突破している。
(※5)『X-ファイル』
1993年から2002年にかけてアメリカで製作されたSFテレビドラマ。超常現象にまつわる事件に、2人のアメリカ連邦捜査局(FBI)捜査官が取り組むストーリー。
――『都市伝説解体センター』に入れたかったけど入れられなかった都市伝説があれば教えてください。
あだPさん:
僕はAI絡みの都市伝説がすごく好きなんですね。AIとかスマホとか最近のものを使った都市伝説が大好きで。例えばスマホにGPSを使ったあるゲームアプリを入れると「次はここに行ってください」って指示が表示されて、それに沿って行動していくんです。そうやってコンピューターの指示に従っているうちに、いつのまにかいわくつきの場所に連れて行かれてしまうとか。そういう都市伝説が好きなので、できれば入れたかったなという思いがありますね。

――実際にゲームに入れられなかった事情について伺ってもいいでしょうか。
あだPさん:
多分、僕がその都市伝説をベースにして面白いシナリオを書けなかったからですね(笑)シナリオコンペに出したんですけど、やっぱりほかのみんなのアイディアの方が僕から見ても面白かったので、ほかの人のものにした方がいいなと思って自分の案は下げました。
きっきゃわーさん:
やっぱりコンペに出すくらいなので、みんな1つ1つにしっかりお話を考えているんです。アイディアを出した瞬間には「このネタだったらこういう話になりそうだよね」と一時の話の花は咲くんですけど、全体のストーリーラインに組み込んだときに、話は繋がるのかという問題があったりしますね。逆に、1つの話を捨てるとまたその分のお話を考えて第1話から最終話までの大きな流れを考える必要があったりして、取捨選択も楽ではなかったです。今思い返すとなかなか贅沢なコンペだったなと思います。
たとえば、ウィジャボード(※6)を出すというというアイディアがあったんです。アイドルグループが出てきて、そのうちの1人が実はウィジャボードの意思を示す側で恐ろしいことを指示してくる、という案が出ました。ただ「シーンとしては面白いけど、話の流れはどうなるんだ」という意見もあって。こんな感じで墓場文庫のお話作りは死屍累々になってしまうので、何かチャンスがあれば墓場行きになってしまった日の目を見ないストーリーに単発のチャンスを与えられればとは思っています。全部で3~5つくらいの墓地送りがあったコンペ会場でしたね。
(※6)ウィジャボード
欧米で用いられる降霊術の器具。こっくりさんのように、死者からのメッセージを文字盤を使って指し示すという。

――取捨選択にも苦労されたわけですね。
きっきゃわーさん:
そうですね。いかんせん作ることに我々もまだ慣れていないんです。お話を作ることですらまだ慣れていないし、それをゲーム化すること自体もそんなに手慣れているわけではありません。ストーリーを作るうえでも、ザックリとしたあらすじだけだと「じゃあここまで分かればこうすればいいね」という風にはなかなかできないんですね。こういうキャラクターが出てきてこういう話が発展して……と、ある程度作ったとしても、なかなか綺麗に拾い上げて全体像を整えられる手練れがいないんです。
みんなで「ここが納得できないんだよな。何でこいつはこんなことを言うの?」とか「話自体はまとまってるけど山場がないから、どこかでどんでん返しがないと1エピソードとして組み込むための決め手が足りないよね」みたいな意見が出てくるんです。やっぱり墓場文庫は『和階堂真の事件簿』のときから大なり小なりどんでん返しをして、お客さんが「わっ」て一瞬でも楽しくなれるところを絶対に1つは入れないとね、というスタンスをもっているんです。そういう形式にストーリーが載るまでの右往左往が話数分だけありました。

――それでは最後に、ファンの皆さんにそれぞれ一言ずつお願いします。
ハフハフ・おでーんさん:
『都市伝説解体センター』は、集英社ゲームズさんと2年半から3年に渡って開発した作品です。ぜひ手に取って遊んでいただきつつ、合わせて『和階堂真の事件簿』を遊んでいない方もこのタイミングに遊んでいただければと思っております。
きっきゃわーさん:
墓場文庫は『和階堂真の事件簿』シリーズを出しているとはいえ、まだまだ場数を踏めていません。それは集英社ゲームズさんも同じということもあって、とにかく反響が欲しいです。ものを作ったあとの反響に慣れている大企業さんのような落ち着きはもてないくらい、ソワソワと心細く皆様の反応を待っています。テキストでも絵に描いてもらうでも何でも構わないので、いろいろなかたちで皆さんからの反応をいただけたらなと切に願っております。ぜひとも皆さんにゲームを手に取って遊んでもらって、その反応をどんなかたちでもいいから出してもらえたらと思います。よろしくお願いします。
あだPさん:
BGM、SE担当ということで、『都市伝説解体センター』はBGMが33曲収録されています。かなり力を入れて作った主題歌もありますし、SEの方も250~300個と僕1人で作ったにしては結構な数が入っているかなりリッチな作りになっているので、音の面でもお楽しみいただければと思います。あとはいい機会なので『和階堂真の事件簿』の方もぜひご購入いただいて楽しんでください。
MOCHIKINさん:
ファンに向けての一言ではないのですが、今って結構ゲームが先鋭化してると思っています。難しかったり、ジャンルも特定のものばかりがフィーチャーされている感じで、特に僕たちが作っているミステリーアドベンチャーなんて過去の遺物みたいな扱いなんじゃないかなと個人的には思っているんです。そういう先鋭化に疲れてゲームをやめちゃった人たちに遊んで欲しいと思って作っているので、周りの最近ゲームをしなくなったとか、最近のゲームは難しくてよくわからないような人たちに是非薦めていただけたら嬉しいなと思います。
――ありがとうございました。
『都市伝説解体センター』『和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE』は各ストアページから購入可能です。
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この記事を書いた人
聞き手:ササン三(room6)
編集:ササン三(room6)
校正:fukushima(room6)